終活とは?終活準備やエンディングノートについて解説

1.終活の意義

終活という言葉をご存じでしょうか?終活とは、終末期に向けた活動の略語で、人生の最後に向けた準備を行うことです。近年、社会は超高齢化社会に突入しています。世界保健機関は、高齢化率が21%超で超高齢化社会であると定義しています。高齢化率とは総人口に対する満65歳以上の割合です。

それでは、日本の高齢化率は何%なのでしょうか?総務省統計局によれば、日本の高齢化率は平成29年時点で27.7%で、21%を大きく上回り日本は超高齢化社会といえます。高齢化の傾向は今後も続く見通しとなっています。

また、この超高齢化社会に加え、従前はタブー視されていた自分や家族の最期について考えるということが見直されつつあります。

さらに、2012年に『終活』というワードが新語流行語大賞のトップテンにノミネートされたことで、『終活』が世間一般に広く知られるようになりました。自分の最期や家族の最期について考えることは、あまり気が進むことではありません。私自身もそうです。しかし、死は誰にでも訪れるものでいつ訪れるかは誰にもわかりません。終活は、自分の死と向き合い、今をどのように生きるか、今後の人生をより豊かに自分らしく生きるための活動と言えます。

自分の死と向き合うことは非常に勇気がいることですが、勇気を出して一歩踏み出せば、ご自身の人生がより豊かになり、また、ご家族様にとっても意義があると思います。

2.家族のための終活準備

終活をすることの意義の一つに、自分の死後、家族の負担を減らすということがあります。家族が自分のことをすべて知っているというのは中々なく、「日々伝えているよ」と考えていても、伝わっていないことも多いです。死後の手続きでは、亡くなった方の情報が必要となることが多いです。

また、家族のために残していた財産もその存在を伝えていなければ、引き継がれないこともあります。

では、どのようなことをしておけばいいのでしょうか?

代表的な3つを記載します。この3つは終活をする上で必須なので、よく理解しておきましょう。

①身の回りのものの整理

身の回りのものの整理は、終活の入口です。家族が亡くなった後、家族が困ってしまうのが遺品整理です。家族にとって、本人が大事にしていたものなのかどうかの判断がしにくいという点があります。

また本人にとっては大事と思っているものでも家族にとっては、使えない、役立たないと考えるものもあります。どちらにしても生前に整理しておかないと家族が困ってしまう可能性が高いです。また、最近では、これらが整理されていないと、遺品整理業者に頼むことになるケースが多く、機械的に片付けや整理がされることが多いので、家族に引き継いでもらいたいものが引き継がれなくなることがあります。

すべてを整理することが難しくても、処分するもの、家族に引き継いでほしいものをリスト化しておくと残された家族の負担は軽くなるでしょう。

身の回りの整理で大事なものとして、写真があります。少し前までは、写真をアルバムに貼って冊子としておいておくということが主流でしたが、現在は、スマホやパソコン、デジカメに残していることが多くなりました。写真の所在を伝えるのはもちろんのこと、保存しているスマホやパソコンのIDとパスワードは控えておき、亡くなった後、家族にきちんと引き継がれるようにしておきましょう。最近はこの写真や、動画などの整理を『デジタル終活』といったりします。

②財産の整理や相続の準備

相続のお手伝いをさせていただいていて、よくお聞きするのが、「通帳はどこにあるか聞いていたけど、銀行印が見つからない」「通いの銀行のことは聞いていたけど、ほかの銀行口座があるかわからない」「入っていた保険があるのかわからない」などなど亡くなった方の財産すべてを聞かされていないと、残された家族は困ってしまいます。

亡くなったあと手続きがたくさんあります。相続というと相続税の申告を中心に考えられがちですが、死亡届出をはじめ、国民健康保険、介護保険の資格喪失届や年金の手続き、銀行への届出、クレジットカードの解約など、相続税の申告以外にたくさんのことをしないといけません。保険証など大事なものは、まとめておくと家族が慌てて家探しすることはないでしょう。

相続をするのは、何もプラスの財産だけではありません。マイナスの財産つまり負債も含まれます。負債が多い場合、相続放棄をすることがありますが、期限があるため、できるだけ早い時点で知っておきたいものです。相続人が複数いる場合、遺産分割協議を行うこととなりますが、この遺産分割協議で家族仲が悪くなったりするケースもあります。あらかじめ、財産の割り振りが決まっているのであれば、遺言書を作成しておき、遺言書の存在を家族に伝えておくことで、遺産分割をめぐるトラブルを未然に防ぐことができます。

③葬儀や墓の準備

葬儀の仕方や墓に希望がある場合はこれを家族に伝えておきましょう。

最近は、葬儀のあり方も多様化していています。

以下で代表的な葬儀の種類を見てみましょう。宗教により葬儀の儀礼は変わりますので一般的な内容となります。

  • 一般葬・・・従来からある葬儀方法で、通夜が行われた翌日に葬儀、告別式が行われる方法。参列者は、遺族・親族の他、友人、職場関係者、近隣住民など幅広い人が参列します。
  • 家族葬・・・参列する人数が10人から30人程度の小規模な葬儀のことをいい、内容は一般葬と同様です。
  • 社葬、合同葬・・・会社代表や役員が亡くなったり、社員が殉職した時に会社が主体となって行うものを社葬といいます。複数の会社が合同で行う場合は、合同葬といいます。
  • 密葬・・・後日に本葬儀やお別れの会などを行うことを前提に、故人の死を知らせず、近親者のみで行う葬儀を密葬いいます。
  • 一日葬・・・通夜の儀式を簡略化又は行わずに告別式と火葬を1日で行う葬儀を一日葬といいます。
  • 直葬、火葬式・・・通夜や葬儀を行わず火葬だけで終える葬儀をいいます。
  • 自由葬・・・従来の葬儀の形式にとらわれない形で行う葬儀のことを自由葬といい、故人が好きだった音楽の生演奏などで送る「音楽葬」などがあります。

様々な種類の葬儀がありますが、自分がどうやって送ってほしいか考えておきましょう。

次は墓について見ていきましょう。

ひと昔前は、家族墓があって、そこに遺骨をいれるのが当たり前という考え方が多かったです。核家族化が進んだことにより、墓のあり方も変わって来ています。

以下では墓を決める際の最初のステップの墓地の種類を見てみましょう。

墓地の種類は大きく分けて3種類です。

  1. 寺院墓地・・・宗教法人が管理、運営を行う墓地です。基本的に利用できるのは、檀家であったり信者です。そのため、その寺院の宗旨宗派に従う必要があります。永代供養をしてもらえる寺院もあります。
  2. 公営墓地・・・各都道府県や地区町村など自治体が管理・運営を行っている墓地となります。宗教、宗旨、宗派は問われませんが、現住所が申し込み市町村にあるなど条件があります。
  3. 民営墓地・・・民間企業や財団、宗教法人が管理・運営を行っている墓地となります。宗教、宗旨、宗派を問わないところがほとんどですが、一部問われるところもありますので、ご注意ください。

3.引退後の自分の人生を豊かにするための終活準備

終活は残された方へ向けたものとか、家族の負担を減らしたいとかいう理由で始められる方が多いですが、終活は、自分の死と向き合い、今をどのように生きるか、今後の人生をより豊かに自分らしく生きるための活動なのです。

ですから、終活は、今後の人生をより有意義に生きるための準備でもありますので、老後に自分がしたいこと、例えば「海外旅行や趣味に没頭する」「新しい趣味を見つける」など自分がやりたいことなどを考えることもとても大事なことです。老後不安ばかりを考えるのではなく、ポジティブな思考で終活に向き合う姿勢も必要ではないかと思います。

4.エンディングノートの活用

終活を進めていくにあたり、最初に思い浮かぶのがエンディングノートという方も多いのではないかと思います。エンディングノートは、遺言のように法的な効力はありませんが、家族に伝えたいこと、大事な情報を引き継ぐことができるノートです。エンディングノートに記載する代表的なものを以下に記載します。

  • 自分自身のこと・・・本籍、生年月日、家系図や自分史など
  • 交友関係・・・友人関係や親戚等
  • 身の回りに関すること・・・写真や身の回りの物など処分するものや引き継いでほしいもの
  • 財産に関すること・・・預貯金や不動産などプラスの財産、借入金などのマイナスの財産
  • 介護、医療のこと・・・介護でしてほしいこと、かかりつけ医や延命治療の有無など
  • 葬儀お墓に関すること・・・菩提寺や葬儀や墓について

5.まとめ

終活は、自分の死と向き合い、今をどのように生きるか、今後の人生をより豊かに自分らしく生きるための活動です。自分自身の死と向き合うことは勇気がいることです。勇気を出して一歩踏み出すことで今後の人生がよりよくなる可能性があります。終活を始めるのに遅すぎるということはありません。自分だけではできないという場合は、家族と一緒に取り組むのもよいと思いますし、専門家を頼るのもよいでしょう。

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